万巻の書を読み千里の道をゆく

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大学生になった少し怖がり屋の僕は、ひょんなことからミステリー研究会に入る。同時に家庭教師のアルバイトを始めるが、その教え子は大のミステリー好きだった。身の回りで起きるちょっとした事件を二人で解決していくライトミステリー。


「人の死なないミステリ」を描き続けている坂木先生による新作。
田舎育ちでのんびりとした気性を持つ「僕」こと大学生の二葉と、恐ろしいほどに頭の切れる、都会育ちの美少年の「先生」こと中学生の隼人の二人が、身の回りで起こる身近な謎を解き明かしていきます。
隼人の卓越した推理力、観察力にも驚かされますが、推理の際に大いに役立つ二葉の「ある特技」が面白かった。


難しくも重くもないし、オチも読めるけれども、きちんと書かれている所と、苦さが残る所が良かった。本格ミステリでなくても説かれる謎の元はすべて犯罪である、というところをきっちり明かしているのが、子供だましでも、おためごかしでもなくて、現実を匂わ
せる。それがいいなあ、と。

あと、隼人が毎回、怖がりでミステリを読めない二葉の為に「次までの宿題ね」と言って紹介するミステリにも興味を持ちました。「先生と僕」というタイトルは言い得て妙。
| 16:26 | 坂木司 | comments(9) | trackbacks(0) |
戦うことで、俺たちは成長していく――美青年と少女、そしてその分身たちが決闘、また決闘!
魑魅魍魎が跳梁跋扈する妖しげな異世界。ここでは人間の骸から生えた「汚木」から、操り人形の「仏」を作る風習がある。主人公の厭太郎は、ひょんなことから仏師の娘・犬千代と、命を懸けてお互いの仏同士を決闘させるはめに。負け続けだった厭太郎だが幼馴染や合の達人の助けを借りて修練を積み、最後の戦いに挑む。 格闘ゲームの狂気と民俗学的世界観を見事に融合させた、25歳の俊英が贈る傑作☆新種ファンタジー!



『ブラック・ジャック・キッド』と共に第19回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。初めて書いた小説でプライズゲット。凄いなー。

『ブラック〜』が日常ファンタジーならば、こちらはびっくりするほど思い切った異世界ファンタジー。帯に「ゲーム化希望」とあるとおり、小説の要となる「合」と呼ばれる民衆たちの娯楽は、ゲーム色が強いです。著者は格闘ゲームをやりこんだ人なのかなーとか思った。
何の説明もなく物語はどんどん進んでいくので、用語を理解するのに多少苦労します。あと、驚きの当て字。まあ、作者が若いからな。

ファンタジー、とありますけども、キラキラしたものや感動ものではなくて、どす黒くて重たくて、どちらかと言えばグロいタイプのファンタジーです。でも強い嫌悪感はない。
登場人物たちにまったくと言っていいほど感情移入が出来ないので、完璧に傍観者に徹して読みました。でも面白かった。良くできてて。

読み始めは登場人物の誰一人として好きになれないなー!と思いつつ、主人公厭太郎に力を貸す合の達人・臆心と、美技・笹乃は良かったです。特に笹乃!凄く素敵な女性だった!!


悪くはないけど絶賛するほどでもないという感じでしょうかね。苦手な人はとことん苦手だと思う。私はそれなりに楽しめました。
| 22:01 | 弘也英明 | comments(0) | trackbacks(0) |
三浦しをん待望のミラクルエッセイ最新刊!!描きおろし・爆笑「なんでもベスト5」大ボリュームで収録。

表紙が雁須磨子!相変わらずしをんさんのエッセイは毎回表紙がとっても豪華。

直木賞作家、そしてコラムニストとして超有名になられたしをんさんですが、相変わらずオダジョーと漫画とバクチクを愛し、女友達と妄想に明け暮れ、弟とは小競り合い、マックには背かれて、火宅は常に本や雑誌やマンガであふれているご様子。安心しました。

そして相変わらず外出先や電車では読めないエッセイです。面白くて顔がニヤついたり、思わず吹き出してしまう。
| 21:45 | 三浦しをん | comments(0) | trackbacks(0) |
都立K高校三年四組、天童玲美。入試を四ヵ月後に控えた十月、彼女はなんとしてでも最難関私大・馳田学院に合格しなければならなくなった。不慮の事故で亡くなった姉、芙美子の死の真相を探るためだ。玲美が頼ったのは、クラスメイトで成績トップの超優等生、愛香。そこに陸上インターハイ選手の杜夫と、機械オタクの隼人を加えた三人が、彼女の参謀となった。決して成績はよくない玲美。彼らが出した結論は、カンニングによる入試突破だった。ひとりの少女が、前代未聞の闘いに挑もうとしていた。教師に、学校に、そして心の中の何かに、いま玲美は宣戦布告する―。青春ミステリー。

軽く読めて良かったです。ミステリ色は、まあ、濃くはないですが、そっちよりは青春小説として読んだ方が満足感を得られると思う。
ミステリ部分の解決は後味悪くなかったんだけど、「え、それでおわり…」っていうあっけなさ。盛大に盛り上げておいて着地点がここかよー、っていう気分にさせられました。
カンニングに用いた器具や方法も「いやいやいやいや…ないなーww」って思いましたが、まあ、小説ですからね。

ただ、その他の部分が秀逸。仲間とか、友だちっていいなーって思いました。恋愛部分も可愛らしくて良かったし、何よりみんなで団結して一つの事に取り組む熱さを感じさせてもらえた。
昔映画で「ザッツカンニング」っていうアムロちゃんとTOKIOの山口君が出てたのがあったと思うんですけど、それをちょっと思い出しました。

手軽に読めて、引き込まれたし読後感も良かったです。
| 21:37 | 黒田研二 | comments(0) | trackbacks(0) |
雪降る聖夜、奇蹟が起きる! 三冠制覇、青春小説の超新星!
ブラック・ジャックになりたいおれと、『ガラスの仮面』を教えてくれた内気な宮内君。そして、眼鏡を外すと超綺麗な泉さん。イブの晩、駅の向こう側の見知らぬ街に姿を消した泉さんの弟・健太を捜して、三人の大冒険が始まった――。ドラマ原作大賞選考委員特別賞、パピルス新人賞同時受賞に輝く、驚異の超大型新人登場!



第19回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作品。その他、各新人賞を次々と獲得した著者による小さな奇跡の物語。

主人公である少年がブラックジャックに傾倒しすぎて、カッコから口癖から趣味嗜好までブラックジャックになりきろうとしている姿があまりにディープ過ぎて若干引きましたが、児童館で友達ができはじめた所からは物凄い楽しかったです。
特に学芸会の劇、「恋のゆくえ」のくだりは本当に良かった。小学生の、小学校の空気がありありと浮かんでくるようだった。
作中語られる「子供は親を選べない」という現実が痛々しいけれど、作品すべてを読み終わると幾分その痛みが和らぎました。

和也、宮内くん、泉さんトリオのお話の分量が少なかったかなあ…。で、これ、一応ファンタジーノベル大賞受賞作ですけども、別にファンタジーじゃなくていいんじゃないかと思いました。めぐみの存在とカ、どうして必要だったのかと首をひねりたい。
あえていうなら少年の成長期における、日常の中のちょっとした不思議、を描いた小説ですかね。
| 21:30 | その他 | comments(0) | trackbacks(0) |
「俺が仕事をするといつも降るんだ」 クールでちょっとズレてる死神が出会った6つの物語。音楽を愛する死神の前で繰り広げられる人間模様。『オール読物』等掲載を単行本化。

再読。
とぼけた死神の、人間との会話の中での「ズレ」にくすりと笑わせてもらえるお話。以前読んだ時と同じく、「微かな人と人のつながり」がどうしてこんなにも切なく響くのだろう、と思いました。
「恋愛で死神」→「死神対老女」の流れは感動さえ覚える。本を閉じた時、まぶたの裏に広がるのは晴れ渡った空と海の青。

「世の中つまんない事やつらい事も色々あるけれど、まぁ、生きていればそのうちいいことあるさ」

っていう、気楽な気持ちにさせてもらえます。
短編なのでサラーっと読めて、読後感も良い。おすすめ。
| 21:20 | 伊坂幸太郎 | comments(0) | trackbacks(0) |
大沼 紀子
マガジンハウス
年末、久しぶりに帰省すると、そこには母と、オカマがいた。そんな予想を覆す我が家の風景に違和感を覚えながらも、閉じこもりがちな感情が、明るくたくましいオカマのお姉さんと、母のいつもと変わらぬ愛で、少しずつ開いていく・・・。第9回坊ちゃん文学賞大賞受賞作。 ヘッポコ助産所ではぐくまれる母とオカマと私の物語。期待の新人誕生!注目のデビュー作。


坊っちゃん文学賞は、そうか、こういう路線(?)なのか。受賞者の中で最も売れたであろう瀬尾さんに代表されるほのぼの癒し系と言うか。事件も事故もましてや殺人もなく、派手さがない代わりに暖かさと愛があるっていう。


表題作と、「僕らのパレード」による2作収録作品。

表題作は、楽しく読めましたが少し引っかかる所もあったり。まあ気にならない程度なのですが。ラストの「お母さん」との会話と、ミカさんの語る「マイノリティー」が物凄く良かった。特に後者、これは本当に良かった。まったくその通りだと思う。なので引用しておこう。

「世の中には平等なんてなくて、マイノリティーは排除されがちで、小さな偏見、小さな悪意で満ち満ちてて。でもぉ、それで回ってんだからいいと思うの。(中略)偏見も悪意もない、清く正しく愛に満ちた世の中なんて、アタシ、そういうのこそノーサンキューって感じ」


真理である。


書き下ろし作品「僕らのパレード」、これは表題作より好きです。出てくる人物がもうみんなみんな、現実世界でうまく折り合いをつけられずに無理をした為に、どこか壊れてしまった人ばっかり。
作中作と言ってしまっていいような、主人公サム(注:日本人です。名前についてのエピソードも非常に秀逸なので読んで欲しい)が、よんちゃんに生きていくための知恵として授けて貰ったあれこれが素晴らしい。森の動物の話、名前の話、幸せの話、優しさの話。どれもがじわっと沁み入ってくるかのよう。

疲れた時にちょろっと読んでみるといいかもしれないです。癒されると思う。
| 01:01 | その他 | comments(0) | trackbacks(0) |
十一月七日、水曜日。女子大生の藍(あい)は、秋のその一日を、何度も繰り返している。毎日同じ講義、毎日同じ会話をする友人。朝になれば全てがリセットされ、再び十一月七日が始まる。彼女は何のために十一月七日を繰り返しているのか。この繰り返しの日々に終わりは訪れるのだろうか――。 まるで童話のようなモチーフと、透明感あふれる精緻な文体。心地良さに導かれて読み進んでいくと、思いもかけない物語の激流に巻き込まれ、気付いた時には一人取り残されている――。


日常に潜む異常な世界、少しずれた、「異界」を書かせたら恒川さんはホントピカイチ。何だろうこのほんのりと温かいようでうすら寒さを覚える闇は。

デビュー作『夜市』があまりに素晴らしかったので、「こりゃこの後出す話で左右されるな」とか思っていたんですけども、いや、前作の長編『雷の季節のおわりに』に引き続き、今作も良かったです…。

部屋のドアを開けたらもう知らない世界だった、とか、毎日顔を突き合わせていたはずの隣の席の同級生をどうしても思い出せない、とか、日常と隣り合わせの異世界。ふと気付くともうそこに足を踏み入れてしまっているかのような。

近世の幻想小説家では、朱川さんと恒川さんが断然おすすめです。多くの人に手に取ってほしい。
| 00:43 | 恒川光太郎 | comments(0) | trackbacks(0) |
戦時下のミッションスクールで少女たちに何が起こったのか? 少女が図書館で見つけた一冊のノート。表紙をめくると美しい蔓薔薇文字の「倒立する塔の殺人」というタイトルだけがあった。ここに小説を回し書きしていこうと決めた少女は…。閉鎖的、禁欲的な生活での少女たちの想いは微妙にねじれていく。濃密で緊張感ある学園ミステリー。


幻想的、幻惑的、耽美的。
装丁から挿絵、勿論小説の中身まで、隅々に仕掛けと美意識に貫かれた一冊。
いや、凄いです。読み終わった後に、細部にわたって仕掛けられている仕組みがわかるようになっているのですが、それがあまりに見事。凄い、としか言いようがなくなる。
ミステリ的要素、つまりトリックが凄いとかそういう訳ではなくて、時代背景、女子学生の性質、舞台としての「女学院」、作中に出て来る美しい絵画や音楽や物語、登場する少女達、その少女達が書き紡ぐ物語…。これら全てが綺麗に折り合って、完璧に構成されている所が本当に凄い。

ミステリなんですけども、最後まで誰が犯人役で誰が探偵役なのかがまったくわかんないシステムになっていて、それが読後の満足感を飛躍的に押し上げてくれている。

皆川先生、執筆時77歳だと思われるんですけども、いや、それを含めてもう何もかもが凄すぎます。
| 00:31 | 皆川博子 | comments(0) | trackbacks(0) |
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サクリファイス
女生徒


計19冊。
月刊BEST:『黄金の王 白銀の王』沢村凛
| 23:59 | 統括 | comments(0) | trackbacks(0) |
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